国は、平成29年度以降、地方自治体に対し、地方消費者行政推進交付金を通じて、消費生活相談窓口の充実強化等に活用できる財政措置を講じてきました。
ところが現在の地方消費者行政推進事業は、令和9年度ですべて終了することとなっており、その後自治体負担のない定額補助での財政支援措置のめどは立っていないとのことです。
このままでは同推進事業の終了により、財政力の弱い小規模自治体を中心として、消費生活相談窓口の廃止・縮小等が行われるなどして、地方消費者行政が後退する可能性があります。
さらに、消費生活相談の DX 化や PIO-NET 刷新によって、消費生活相談業務の在り方も大きく変わりつつあり、これに伴う国と地方の財政負担の在り方についても改めて検討すべき時期に来ています。
以上の状況をふまえ、私たちは、地方消費者行政に対する国の財政措置をさらに強化するべく、以下の通り要望します。
1 地方の消費生活相談窓口から集まってくる PIO-NET 情報を国全体の施策に活用している現状を直視し、PIO-NET に入力される情報の収集・分析・入力等に係る経費を国が恒常的に負担する制度を検討すること。その際、PIO-NET に入力される「情報の価値」を正当に評価すること。
2 1の国の経費負担が確定するとともに、地方の自主財源率が相当程度向上するまでの間、従来の地方消費者行政推進事業と同趣旨の予算措置(補助率10分の10)を継続すること。さらに、推進事業或いはこれと同趣旨の予算措置の終了に伴い、財政力の弱い小規模自治体において消費者行政の後退が懸念されることから、これについて特段の措置を講じること。
3 消費生活相談のDX化や PIO-NET 刷新にあたり、地方の消費生活相談窓口の実状や地方自治体の意見を十分反映させ、決して消費者行政の後退につながることのないよう丁寧な施策の推進を図ること。また、制度改正に伴う備品や人材育成等のコストは基本的に国が負担すること。