地方消費者行政に対する国の財政措置のさらなる強化を求めます

国は、平成29年度以降、地方自治体に対し、地方消費者行政推進交付金を通じて、消費生活相談窓口の充実強化等に活用できる財政措置を講じてきました。
ところが現在の地方消費者行政推進事業は、令和9年度ですべて終了することとなっており、その後自治体負担のない定額補助での財政支援措置のめどは立っていないとのことです。
このままでは同推進事業の終了により、財政力の弱い小規模自治体を中心として、消費生活相談窓口の廃止・縮小等が行われるなどして、地方消費者行政が後退する可能性があります。

さらに、消費生活相談の DX 化や PIO-NET 刷新によって、消費生活相談業務の在り方も大きく変わりつつあり、これに伴う国と地方の財政負担の在り方についても改めて検討すべき時期に来ています。

以上の状況をふまえ、私たちは、地方消費者行政に対する国の財政措置をさらに強化するべく、以下の通り要望します。

1 地方の消費生活相談窓口から集まってくる PIO-NET 情報を国全体の施策に活用している現状を直視し、PIO-NET に入力される情報の収集・分析・入力等に係る経費を国が恒常的に負担する制度を検討すること。その際、PIO-NET に入力される「情報の価値」を正当に評価すること。
2 1の国の経費負担が確定するとともに、地方の自主財源率が相当程度向上するまでの間、従来の地方消費者行政推進事業と同趣旨の予算措置(補助率10分の10)を継続すること。さらに、推進事業或いはこれと同趣旨の予算措置の終了に伴い、財政力の弱い小規模自治体において消費者行政の後退が懸念されることから、これについて特段の措置を講じること。
3 消費生活相談のDX化や PIO-NET 刷新にあたり、地方の消費生活相談窓口の実状や地方自治体の意見を十分反映させ、決して消費者行政の後退につながることのないよう丁寧な施策の推進を図ること。また、制度改正に伴う備品や人材育成等のコストは基本的に国が負担すること。

5年後見直し規定に基づく特定商取引法の見直しと抜本的な改正を求めます!

消費者庁が創設されて13年が経過しましたが、全国の消費者トラブルは相変わらず高止まりが続いています。

・超高齢社会において判断力の衰えた高齢者が悪質商法のターゲットにされている
・インターネット通販におけるトラブルが増加
・20歳代においてはマルチ取引が高い比率を占めている

ウォッチねっとではこの間、連続勉強会を開催し、これらの分野において近時発生している消費者被害の実情を確認してきました。その結果、現在の特商法の制度・規定のままでは、多発している消費者被害を激減させることは難しく、社会の変化に伴う抜本的な見直し・改正が必要であるとの結論に達しました。

よって私たちは、平成28年改正の際に規定された5年後見直しを早急に行い、以下の内容を中心とした特商法の抜本的改正を行うことを求めます。

1 訪問販売や電話勧誘販売について、「およびでない勧誘」(不招請勧誘)への規制を見直し、消費者があらかじめ拒絶の意思を表明した場合には勧誘してはならない制度(いわゆる Do Not Knock、Do Not Call 制度)を導入すること。


2 SNS 等を通じたインターネット通販の勧誘について、クーリング・オフや勧誘規制等電話勧誘販売と同レベルの規制を導入するとともに、SNS 事業者等に対し、消費者トラブル発生時における販売店に関する情報の開示を義務付けること。


3 連鎖販売取引について、国による登録・確認等の開業規制を導入するとともに、被害の予防・救済のための規制を強化すること。